永田和宏
どこかに正解があって、その正解は自分が知らないだけであって、誰かが(たぶん誰か偉い人が)知っていると、頭から思い込んでいること、その呪縛のまま、大学においても同じスタンスで教育を受け、そして社会に出ていく。そんな社会人ばかりが増えていくと考えることは怖しいことではないか。
「学校での問題には正解があるけど、ビジネスの世界には正解がなくて...」といったクリシェは聞き飽きたが,この文章はそれらと似ているのに,なぜか受ける印象が異なる。最近、学生でも社会人でも、なにかとすぐに生成AIを使って答えを得ようとする傾向を感じる。それは、ここで著者がいう「呪縛」に人々が囚われていることの証拠だ。
大学の大切な役割の一つは、高校までの教育と実社会とのあいだのバッファーとしての役割である。高校を卒業して社会にでる人も多いわけであり、ほんとうは高校にもそのような役割があってほしいとは思っているが、少なくとも大学には、そのような役割は必須のものだと私は思う。
「高校を卒業して社会にでる人も多い」という事実にちゃんと目を配って文章を綴られているところに、著者の丁寧さを感じて、気持ちが良かった。見習いたい。